2019/03/31

大森郁香さん|完全復帰へ向けて

大森郁香さん。
今年度というより毎年注目している選手です。

同じ千葉県出身。
高校時代は地区大会どまり。
800m。
日大。
異なるのは、私は大学2年生の頃に完全に走れなくなったけれど、大森さんは大学3年から本格的に走り出したこと。
だから大森郁香は、私の夢の続きを走ってくれている。
そんな風に考えて、ずっとその走りに注目してきました。

それに走り方。
大学生になった大森さんを初めて見たのは、駅伝を走っている姿でした。
その時は「何で駅伝を走ってるんだ?」と思ったものですが、それは置いておくとして…
そのころから、大森さんは宙を滑るように足を前に出して走っていました。
大森さんほど綺麗に走れませんが、足を地面と平行にすっと前に出す走り方は、私が目指していたものと同じでした。
この走り方はロスが大きく、ピッチが上がらないという人もいます。
理屈ではそうなのでしょうが、私の場合は好きか嫌いかで、この走り方を選択していました。
だから大森さんが大学4年の時に、関東インカレで優勝した時は、まるで自分が勝ったかのように本当に嬉しかった。

社会人になってからの大森さんは、多忙な日々や怪我もあって、納得のいくシーズンを送れていなかったことでしょう。
しかし、昨シーズンからは奥アンツーカに所属を変え、走れる環境を手に入れています。
そして3月の合宿を見る限りでは、まだここから上げていく段階でしたが、故障もなく走り切れていました。
今シーズンこそ、怪我することなく、心おきなく、走り切れることを祈っています。

2019/03/30

川元奨選手|五輪連続出場への期待

中距離注目選手、2人目は川元奨選手です。
1分45秒75の日本記録保持者なので期待されるのは当然なのですが、今年はさらに少し違う気がします。
合宿で見たその姿が、かなり絞れていました。
コーチの松井君によると、沖縄での合宿の前、オーストラリア遠征から好調だったようです。
川元君は、2012年の1分46秒台、そして2014年で出した日本記録と、記録を出すときは大幅に更新してきた経緯があります。
今年はもう一度伸ばしてくるのではないか…
そんな予感が漂っていました。

1分45秒75から伸ばすことは至難の業ではあるでしょうが、もう一度川元君が日本記録を更新する姿を見たい、と思っているファンは多いことでしょう。
日本選手権も現在6連覇中。
前回のリオデジャネイロに続き東京五輪も出場することになれば、800mで2大会連続出場は日本人初です。
記録も実績も未知の領域を走り続けている川元君。
前にも同じことを書きましたが、川元選手と松井コーチの2人なら、切り拓いてくれると信じています。

2019/03/27

塩見綾乃さんの推進力

東京五輪前年のシーズンが始まろうとしています。
私が注目するのは、いつものことですが、男女とも800mです。
そして今年注目している選手を何名か記事にしてみようと思います。
先ずは塩見綾乃さんです。
高校生の頃から活躍している選手なので実績の説明は不要でしょう。
4月に行われるアジア大会の代表にも選ばれています。
もしかしたら早い段階で好記録を出してくるかもしれません。

大森郁香さん(左)と練習する塩見さん(右)
というのも、今月の初旬、合宿での練習を見たのですが、かなり良い状態に仕上がりつつあるように感じました。
また塩見さんは、これは私の感覚でしかないのですが、伸びるきっかけを得る要素をたくさん持った選手だと思います。

塩見さんは、上下運動があまりない省エネタイプのスプリントをする選手です。
膝を前に出す動作が上手なので、膝が上がった位置からすっと足が前に出ます。
一見すると、ストライドはそれほどでもないと思えるのですが、実はかなり前に足が出ています。
この特徴は、ブログで何度か紹介している元ユニクロの林田玲奈さんと同じものです。
大きく異なるのは、林田さんは長距離選手でしたが、塩見さんは短距離に近い中距離選手であること。
この足運びで短距離を速く走るには、当然ピッチが速くなければなりませんから、際立った推進力の源が必要不可欠です。
心肺機能などの内面的要素を除けば、塩見さんの推進力には肩甲骨周囲の筋力の強さと柔らかさが大きく影響しているようです。

実際にその走りをご覧いただくと分かると思います。
肘の引き方が他の選手と同じ角度までだったとしても、塩見さんの引き方には柔軟性と力強さを感じます。
次の動画は昨年の今頃、大学に入る直前の塩見さんの120m。
黄色のウェアが塩見さん、一緒に走っているのは山梨学院大の戸谷さんです。
上体の、特に後ろ(背中)の力がそのまま足運びに連動している。
膝の出し方がスムーズであれば、そのロスは少ない。
走り方だけで見れば、トップスピードに近いスプリントを維持するにはうってつけです。
その反面、おそらくスピードの急激な変化には弱い。
それを克服するには、結局のところシンプルに速くなるしかないのですが、塩見さんの場合、走り方の効率が良いだけに、膝が平均して1㎝高く上がるだけでも大きく変わってくることでしょう。
どこか少し強くなるだけで必ず強くなるのですが、難しいのがその「少し」。
でも、その「少し」の要素をたくさん持っているのが塩見さんです。
大化けするときは、意外とあっさりと化けてしまうかもしれません。
ほんの少しの、大きな可能性を秘めた選手です。

2019/03/17

ラストラン|林田玲奈さんと西澤果穂さん

本日、長距離種目の記録会、第2回ブレイクスルーランフェスが宜野湾市で開催されました。
昨年に続き、車いす陸上の選手の伴走をしてきたのですが、今日記事にするのは一年前、3月17日に開催された前回の記録会のことです。
もう1年経ったから振り返ってもいいのかなと思い、少しだけ書き残しておきます。
全部は書けないので、あまり上手くまとめられませんが…。

第1回大会でペースメーカーを務めてくれたのは、林田玲奈さんと西澤果穂さんでした。
※撮影:屋良優海子
どちらも所属していた実業団チームを退社して間もないころでした。

林田さんは引退を決めていましたから、どこかでラストランが出来たらなという想いが私にありました。
それを若い車イス選手と一緒に走ることで、ランナーとしての林田玲奈を記憶に残してもらえたら、何か伝わるものがあれば良いなと。

西澤さんは、これから先まだ悩むことがあるだろうという時期でした。
陸上をやっていてよかったと、そう思うことが出来るきっかけがあればと考えていました。
そしてそれが、ラストランというほどではないにせよ、一区切りつけられるようなものになればと。
無理に走り出すこともないし、走ることを辞めたとしても、あなたのこれまでの競技人生は間違いではなかったと、私自身が西澤さんに伝えたかったのかも知れません。

いずれにしても、結果は大成功だったと思います。
後日、琉球新報に掲載された記事がすべてを語ってくれていました。
西澤さん、林田さん、そして二人をペースメーカーに走った車いす選手も得るものが多い3000mだったのではないでしょうか。

さて、ラストランとしたのは、私自身にも区切りをつけるためでした。
ここから先は、走っても走らなくても、この二人の人生を応援することを再確認するために。
そして今、その継続が出来ていることが何よりも嬉しい日々です。