2017/04/22

大森郁香さんのフォームに魅せられて

性別、世代を問わず、私が実際に見た中では最も綺麗な足運びをしていると思うスプリンターが大森郁香さんです。
今年2月、東邦銀行の合宿に参加していた大森さんのアップ風景です。
レースでもジョグでも、大森さんは綺麗なミッドフット着地で走ります。
そしてレースでは滞空時間が長く見える走りをします。
関東インカレの決勝、ラストで競っている場面です。
こちらは800mのスタート直後、加速時のフォーム。
ラスト、スタート直後どちらでも膝下が綺麗に前に出ていることが分かります。
膝が高く上がって、膝から下が前にスッとでます。
その時、足裏がトラックとほぼ平行になった状態を維持しながら接地するので、滞空時間が長く宙を滑っているように見える走りを実現させています。
アジア選手権での走り。足裏が平行になっていることが分かります。
どのような走り方が好きかは人それぞれなのでしょうが、大森さんの走りの魅力はここにあると私は思います。
大森さんは中距離を本格的に始める前は長距離をやっていましたが、駅伝に出ていたころから既にこれに近い足運びをしていました。
それが中距離練習で洗練されたのだろうと思います。

良い時の大森さんは膝から下がすっと伸びているのですが、悪いときは伸びがなくてすぐに足が落ちて(接地して)しまうように見受けられます。
そして今シーズンの大森さんですが、2月に今年初めてスパイクを履いた時点でかなり大きな走りをしていると感じました。
走り始めで、これからフォームを作り込む段階でこれだけの走りをしているとなると、否が応でも活躍を期待してしまいます。

ロッテという大企業で働きながら競技を続けている大森さん。
周囲の理解があるとしても、トップレベルを維持しながらさらに上を目指すことは相当大変なことだろうと思います。
夜遅くから練習することもあるようです。
走り続けている大森さんを、心から尊敬します。

2017/04/18

小さくて大きなハードラー|安田志織さん

今年、高校の後輩の安田志織さんが環太平洋大学に進学しました。
安田さんは中等部の頃から100mHで全国大会に出場し、昨年は岡山インターハイにも出場。
南関東大会ではハードルを2台引っかけ、2台倒してギリギリ6位で全国大会の切符を手にしました。
その前の予選や準決勝でも何だか危なっかしい走りをしていたようで、ヒヤヒヤしながら速報を見ていましたが、なにはともあれ全国大会出場を決めた時は本当に嬉しかった。
私がインターハイに挑んでから四半世紀、小さなハードラーがとても大きく見えました。

私が通っていた学校は、昔と変わっていなければ毎月テストがあります。
ですから毎月テスト前の1週間は部活禁止でした。
テストの点数は成績に大きく影響しますし、赤点をとってしまうと補習やらで大変なので人それぞれ必死でした。
4週間のうち1週間も練習できないうえに、私学なので遠方から登校する人も多く普段でも部活は5時半には終えなければなりませんでした。
6時に最寄りの駅まで向かう最終のスクールバスが出てしまうからです。
学校の敷地内に陸上部が使えるトラックはありませんでした。
近くに競技場もないので、全く整備されていない雑草だらけの原っぱ、森の中や農道を走っていました。
スパイクで走るとしても、グラウンドの端っこの直線だけが使用可能で100mしかありません。
安田さんは部活とは別にアスリートクラブに所属していたようですが、それでも学校の状況を考えると環境に恵まれているとは言えません。
「よくあの学校から全国大会に出れたな」というのが正直な感想でした。
当たり前のようにインターハイに出る強豪校ではありません。
だからこそ、安田さんを誇らしく思います。

ハードル種目は全く素人の私から見ても、安田さんのハードリングはまだまだ発展途上にあるようです。
環太平洋大学では、走ることやハードリングを科学的に捉え実践していくことと思います。
本格的に競技について学び研究する中で、試行錯誤や新しい発見が山のようにあって、安田さんのハードリングも大きく変わっていくことでしょう。
未完成だからこそ、どう成長し変化していくのかとても楽しみです。

楽しいことも辛いことも全部ひっくるめて、充実した学生生活になることを祈っています。

2017/04/12

林田玲奈さん

高校生の頃から見続けているランナーに林田玲奈さんがいます。
林田さんは宮崎日大を卒業後、ユニクロ女子陸上部に所属、今年社会人4年目になるランナーです。

初めてその走りを見た時はとても不思議な感覚でした。
周囲の選手と比較すると、明らかに体幹が弱い。
ところが1500mを4分31秒台で走っていました。
しかも1000mの通過は3分を切っていました。
3000mでは9分28秒台…高校生では素晴らしいタイムです。
注意して見ると、膝の使い方は誰よりも上手で、足の動き全体がとてもスムーズでした。
上体が強くなれば、その強さがそのまま足の動きに伝わるだろうと思えました。
腰の位置が高くなりピッチが速くなった姿が想像出来て、この子は強くなる、そう確信しました。
ユニクロ入社後、順調に自己新を重ね10000mで32分43秒を出します。
社会人になってからの急成長の証は、何気ないジョグの姿勢にも見られました。
ジョグのフォームがとても綺麗になっていて驚かされたのを憶えています。
記録だけを見ても、順調に伸びていると言えるでしょう。
でも昨年は故障などもあって思うように走れない時期が続いたようです。

林田さんは、単に応援されているだけではなく、たくさんの人に支えられているランナーです。
支えや応援に気負うのではなく、人の支えを自分の「安心」とすることが出来た時、人は大きく成長するものだと思います。
その成長を見守り続けることが出来る…私にとってそれは何よりも嬉しいことです。