2016/04/06

遅れてきたランナー|灰谷健次郎さんのこと

作家、灰谷健次郎さんはランナーでもありました。
40代後半から走り始めた灰谷さんのエッセー、「遅れてきたランナー」は私に大きな影響を与えてくれた1冊です。
読んだのは高校生の時でした。

私は競技を引退した後、大学で文芸を学んでいました。
すっかり文芸の虜になった私は、何人か素晴らしい作家さんと出会う機会にも恵まれました。
中でも、私が師と仰いだのが水上勉さんです。
水上勉さんと何度かお話しするようになって、灰谷さんとも出会いました。
灰谷さんは水上さんのご友人でした。

淡路島から沖縄の渡嘉敷島に移住した灰谷さん。
那覇市の港で偶然お会いしたことがありました。
遠くから右手を上げて「よぉ!」と声をかけてくれて、短い間でしたが少しお話ししました。
体調を悪くして沖縄に移住した私は、走ることとは全く無縁の生活を送っていました。
そんな私に、
「走って疲れたら海に浮いていればいいんだよ。渡嘉敷は最高だよ。元気になったら走りにおいでよ」
と語りかけてくれた灰谷さん。
それが最後の会話でした。
私が灰谷さんと走る機会は結局最後までありませんでした。
それがとても心残りです。

灰谷さんは語ります。
ゆっくり走ることにより、走ることが好きになる。
走ることが好きになると、「走」そのものが豊かになる。
周りの命も見えるようになってくる。
一人で走る分には比較は必要ない。ただ、身体との会話。
心と体の対話を楽しむ
すてきじゃないか。