2020/08/23

SMA症候群

私は医師ではありませんが、SMA症候群(上腸間膜動脈症候群)について書いておこうと思います。
このブログで幾度か、女子長距離選手に対する厳しい体重管理、無月経や摂食障害の問題について取り上たことがあります。
SMA症候群もまた、過度な体重管理や激しい運動によって起こる症状であるからです。

長距離のトレーニングで合宿を行うと、運動量が普段よりも格段に多くなります。
1週間で400㎞以上走りこむこともあるでしょう。
本格的に長距離を競技としてやってきた女子選手であれば、運動量が多い時期や減量中、食事の後に吐き気がする、胃もたれする、腹痛がある…こんなケースを体験した方も多いのではないでしょうか。

運動量が増えている時なら「内臓疲労」、減量中や体重管理が厳しいと「摂食障害」を疑ってしまいがちですが、もう一つ、SMA症候群の可能性を念頭に置いておく必要があります。

SMA症候群とは、十二指腸を上腸間膜動脈という血管が圧迫することで起きる病気です。
十二指腸は上腸間膜動脈と腹部大動脈との間にあります。
二つの動脈の間には内臓脂肪があるので、通常であれば十二指腸は内臓脂肪の中に浮いている状態になります。
ところがこの部分の内臓脂肪がなくなってしまうと、十二指腸が押しつぶされてしまい、食後の吐き気や腹痛といった症状が出てきます。

もうお分かりだと思いますが、内臓脂肪が極端に減ることで起きる病気です。
やせ型の若い女性に多い病気で、体脂肪を気にしているアスリート、糖質制限ダイエットを続けている人は注意が必要です。
突然激しい腹痛と嘔吐に襲われることもあって、その場合は救急車を呼ぶことになるかもしれません。

この症状に実際になったことがあるランナーもいます。
ウルトラマラソンの日本代表でもある兼松選手です。
当時の様子を記事「体重減少が招いた緊急事態」に残してくれているので参考になると思います。

この症状に陥ったら先ずは休むことです。
そして糖質と脂質が豊富で消化によいものを摂取することを心がけます。
女子長距離選手の場合、太ることを気にして、休んだ上にさらに食べることに罪悪感を抱く人もいるでしょうが、吐き気や腹痛が出てきた時点で休息することが大事です。
兼松さんのように急激に悪化することもありますし、その状態で我慢して練習を続けても競技力の向上に繋がるとも思えません。
症状が軽度であれば、練習を軽くするのも良いかもしれません。
ちょっと胃もたれする、胃がキリキリするという程度だと「内臓疲労かな?」と思うくらいでしょう。
この時点で練習を軽めにし回復に努めるという選択もアリだと思います。

内臓脂肪は悪者扱いされがちですが、「減りすぎても怖い」ということを念頭に体調管理をしたいものです。

2020/08/20

川島実桜さん|セイコーグランプリ女子800mを前に

セイコーグランプリのドリームレーン出場選手が発表されました。女子800mには豊橋南高校の川島さんが出場します。

昨年のインターハイが沖縄で開催されたこともあって、そこで初めて川島さんの走りを間近で見ることが出来ました。800m決勝では序盤から前に出る姿勢を見せてくれました。
現在のベスト記録は2分8秒53ですが、その記録以上の可能性がフォームから溢れ出ているような選手です。

とはいえ走りそのものはまだ粗削りで、接地、ピッチ、体幹など全体的にこれからという印象です。
伸びる要素が多いということですが、それ以上に目を惹くのが「ギアチェンジ」です。
川島さんはレース中に複数回、大きな速度変化を見せることがあります。

元々短距離が得意だったように見受けられますが、小柄なうえフォームは粗削りです。決して効率的な走りとは言えないフォームです。それでもこれだけの速度変化が出来るということは、心肺機能が相当強いのではないかと思われます。心肺機能の強さが、速度の変化と維持を可能にしているのではないでしょうか。走りそのものが未完成で心肺機能が強い、しかも「前に出る姿勢」を持ち合わせています…こういう選手は必ず伸びます。

コロナ禍の今、どれほどの練習を積めているのか分かりませんが、セイコーでは2分8秒5の日本選手権参加標準記録の突破を目指してもらいたいところです。
そして近いうち、2分5秒前後の記録を出してくる…そんな予感を抱かせてくれる選手です。高校卒業後も、自分に合った環境で走り続けてくれることを願ってやみません。

2020/08/16

谷川俊太郎さんと朗読の会

ナナロク社が主催する「お盆はおうちで谷川俊太郎さんと朗読の会」を視聴しました。参加ゲストは三角みづ紀、御徒町凧、木下龍也、岡野大嗣、岩崎航の各氏。なかなか豪華な顔ぶれです。

谷川さんを含むゲストそれぞれが最近書いた詩を朗読し、お互いに感想を述べるというスタイルで進行していきました。全体的に和やかで、でも朗読中には心地よい緊張感が流れる朗読会でした。

テレビのないラジオ中心の生活をしている私は、初めのうちは画面を見ていましたが自然といつもラジオを聴く姿勢になり、後半はリクライニングシートで目をつむって聴いていました。聴く方のスタイルも自由で「詩の雑誌に掲載されている長々しい対談を読むよりこの方がずっと良いな」と感じました。「気楽」と「緊張」を体内に同居させて詩の朗読を聴いたのは初めてかも知れません。

途中の雑談も詩に関することがほとんどでしたから、「対談」「詩作品」「批評」とが含まれていたことになります。構成によっては詩の月刊誌の内容と比較しても遜色ないものが出来るのではないか?そんな可能性を感じさせてくれる配信でした。

そして若い詩人や歌人が、谷川俊太郎さんと同じ時空間で言葉を交わすことは、とてつもなく貴重なものだったに違いありません。彼らの今後にも注目していきたいということで、三角みづ紀さんの新詩集「どこにでもあるケーキ」の予約も完了した1日でした。